
講評
入試や進学は将来を左右する一大イベント。願書の提出はその第一歩です。明確な季語ではありませんが、願書の提出は十二月頃から二月にかけてが多いでしょうから、冬の季感は十分に感じられます。手を入れたポストの口の思わぬ深さへの戦き。底の見えないポストへと、願書を手放す不安。心理的な冷たさとポストの金属質な冷たさが、十代の率直な言葉で印象づけられています。
夏井いつき
講評
晴れ舞台の裏側を覗くおかしみに思わずにやり。華やかなステージと、気忙しく駆け回る裏方の気配。その傍らに待機する作者が懐炉を揉むのは、寒さのためだけではないのでしょう。緊張と寒さに凝り固まる身体と心を自ら励まそうとする手つきが目に浮かびます。
夏井いつき
講評
2025年は熊出没のニュースが全国を騒がせた年でした。飛び込んできた無線通話がそのまま一句に仕上がっています。無線のざらついた音で告げられる率直な報告。有無を言わさぬリアリティが切羽詰まった現場の厳しさと熊への畏れを伝えます。
夏井いつき
講評
口語があっけらかんと明るい一句。熱中症か、あるいは事故か。倒れてる人を見つけた一大事に助けの手を差し伸べられた事実が、胸を明るくします。「よい」と読めば少し誇らかに、「いい」と読めばより軽やかに、韻律の味わいが変わるのも楽しみのひとつ。
夏井いつき
講評
作者は10代未満の小学生。「人付き合いが上手くなる」とは、抱きしめたくなるような可愛いらしさです。自分の成長に胸を張る気持ちと、きらきらが次々に生まれるしゃぼん玉はぴったりな取り合わせ。軽やかに飛び回りながら誰も傷つけない「しゃぼん玉」です。
夏井いつき
講評
国際線が降り立つ成田空港。到着と同時にストレッチャーに迎えられるとは、いったい何があったのやら!? 秋も終りに近づいた「霜降」の頃、ストレッチャーに横たえられて眺める空はどんな色であったことでしょう。悲哀と忙しさの分量が絶妙な味わい。
夏井いつき



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